研究概要 |
サイトカインは従来血液系や免疫系細胞の産生する因子として研究されてきたが、近年各種のサイトカインが心機能を抑制することが知られるようになった。本研究では心不全における各種のサイトカインを測定しその有用性を検討した。心不全の原因疾患,拡張型心筋症(LDCM)23例を対象とし、血中のインターロイキン(IL)-1α,IL-1β,IL-2,IL-6,TNF-α,TNF-β,G-CSF,GM-CSF,インターフェロン(IFN)-α,IFN-γはELISA法で測定し、M-CSFはラジオイムノアッセイで測定した。心不全ではTNF-αが高頻度に検出された。また、G-CSFが高値を示し内皮細胞の活性化が示唆された。また、従来、ホスホジエステラーゼ阻害薬を中心とする強心薬は、生命予後を改善しないとの報告が多いが、近年開発されたvesnarinoneは心不全の生存率を著明に改善することが報告され注目を集めている。そこで健常人5例及び心不全患者7例(拡張型心筋症6例、連合弁膜症1例)を対象とし、末梢血をリポポリサッカライド(LPS)で刺激によるサイトカイン産生に対するvesnarinoneの効果を検討した。VesnarinoneはIL-1α,IL-1β,TNF-α,IFN-γの産生を著明に抑制し、心不全改善効果との関連が考えられた。また、サイトカイン測定によりvesnarinoneによる好中球減少を予測できる可能性が示された。
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