研究課題/領域番号 |
05404046
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
馬場 正三 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40107818)
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研究分担者 |
中村 祐輔 癌研究会癌研究所, 生化学部, 部長
中井 勝彦 浜松医科大学, 医学部, 講師 (50217642)
椙村 春彦 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00196742)
藤田 道也 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60014031)
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キーワード | 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 家族性大腸腺腫症 / HNPCC / APC遺伝子 / K-ras遺伝子 / p53遺伝子 / DCC遺伝子 |
研究概要 |
癌遺伝子・癌抑制遺伝子の発現を利用した大腸癌の診断並びに治療法の開発を目的として大腸癌・腺腫について関連する遺伝子の解析を行った。 (対象)家族性大腸腺腫症(FAP)患者30家系内50例、HNPCC16家系内構成員、多発癌33例、一般大腸癌117例、集簇結節型の絨毛腺管腺腫6例についてそれぞれの目的に応じAPC、K-ras、p53、DCC遺伝子について解析を行った。 HNPCC家系についてdinucleotide repeatの解析を行った。 (方法と成績)(1)APC遺伝子解析:FAP発症前診断の目的でgerm-lineDNAにおける変異を検索するため頻度の高いmutation siteを12組のprimerで増幅し、PCR産物をそのままあるいは制限酵素で切断した後、poly-acylamide gel electphoresisを用いてmutation siteを決定した。(1)-a・この方法により12家系においてその構成員のうちから保因者を同定し、発症前診断が可能であった(安藤・中村)。(1)-b・眼底色素斑と変異部位の解析を行い、大色素斑はExon 9以後に変異部位があることを明らかとした(馬塲・中村)。 (2)HNPCC家系について家系解析を行った。1例において癌巣部のDNA解析により、dinucleotide repeatの異常を1例に認めた(馬塲)。 (3)大腸多発癌症例33例を集積し、免疫組織染色法によりp53の染色を行った(椙村・中村)。p53陽性率は33症例中28例(84.8%)であり、全病変数は75病変であり陽性例は38/75(50.7%)であった。病変別では早期癌31病変中18病変(58.6%)進行癌において44病変中20病変(45.5%)であった。進行癌20病変中肝転移巣とのp53の染色性の異なったものを1例認め、これは異時性リンパ節転移を生じた後、肝転移を認めたものである(椙村・中井)。同一個体に生じた四重癌においてK-rasとp53の解析を行い、K-ras point mutationにコドン12のものとコドン13のものを認め、p53の変異部位はコドン248とコドン239であった。即ち、同一個体でも発癌過程の差異のあることを認めた(藤田・馬塲) (4)MSH2遺伝子のgerm lineでの変異を検索するためのprimerを作製中である(藤田・馬塲)。
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