研究課題/領域番号 |
05404049
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桐野 高明 東京大学, 医学部(病), 教授 (90126045)
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研究分担者 |
森川 栄治 東京大学, 医学部(病), 助手 (90251256)
森本 正 東京大学, 医学部(病), 助手 (20230154)
佐々木 富男 東京大学, 医学部(病), 助教授 (10134561)
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キーワード | 脳虚血 / 細胞死 / 海馬 / 砂ネズミ / ストレス蛋白 / 蛋白合成 / ユビキチン / 免疫染色 |
研究概要 |
虚血後の神経細胞の遺伝子発現が注目されるようになってきた。その理由の第一はストレス蛋白の発現により虚血耐性と呼ばれる一過性の耐性の獲得が神経細胞でも認められるようになったこと、その第二は神経細胞の虚血性細胞死の少なくとも一部はプログラム細胞死と類似した機構が関与しているのではないかと疑われるようになったことである。すでに、hsp70,hsc70,hsp90をはじめとするストレス蛋白の虚血による変化はすでによく記載されている。一方、ストレスによって誘導される蛋白の一つであるubiquitinは短時間の虚血の後海馬CAl領域で激減することが知られていた。われわれは各種の抗ubiquitin抗体を用いて、この結果の追試を行った結果、抗体によっては全く逆の結果をもたらすことに気付いた。すなわちアルツハイマー病患者のPHFによって免疫されたラットより得られたubiquitinを特異的に認識する抗体DF2では虚血後のubiquitin免疫染色性の減少は全く認められなかった。そこで、4種類の抗ubiquitin抗体を用いて、免疫染色と並行してimmunoblottingおよびimmunoprecipitationによる解析をおこなった。その結果、主としてfreeのubiquitinを認識する抗体では海馬CAl領域のubiquitinが虚血の後に激減する一方で、conjugated formをも認識する抗体ではCAlの免疫染色性は全く減少しないことが判明した。虚血によって細胞内には変性蛋白が大量に生み出されることがわかっているので、freeのubiquitinはそのような蛋白の処理過程で消費され、conjugated formのみが蓄積するという結論が得られた。
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