研究課題/領域番号 |
05404053
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野田 政樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50231725)
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研究分担者 |
田村 正人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (30236757)
二藤 彰 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00240747)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 細胞分化 / 核内転写因子 / HLH型蛋白 |
研究概要 |
平成5年度には骨芽細胞の特異的な発現タンパクであるオステオカルシンについて検討し、このオステオカルシンの発現にHelix-Loop-Helix型のタンパク因子の関与する可能性について検索を行った。この結果、骨芽細胞様細胞ROS17/2.8に対し、塩基性アミノ酸配列を欠いたHelix-Loop-Helixタンパクであるld遺伝子を形質導入し、過剰発現を行う事によりオステオカルシン遺伝子の転写産物の量が著減する事が明らかとなった。この実験では3つの独立したld遺伝子の導入細胞について同様の結果が得られ、また一方でアンチセンスのld遺伝子の形質導入を行った細胞ではオステオカルシンの転写産物は、やや増加を示した。この様なことから骨芽細胞の分子機能の発現においては少なくともHelix-Loop-Helix型のタンパク質が関与する可能性が示唆された。また、オステオカルシン遺伝子の上流部分プロモーター領域に対し、これをレポーター遺伝子に結合したコンストラクトを作製し、トランジェントトランスフェクションを行ってld遺伝子の同時発現の影響を検討したところ、この系においてもレポーター遺伝子発現の抑制がセンス型Idによって生ずる事が判明し、転写制御が直接HLH型のタンパクを介して起こる事が示唆された。オステオカルシンの遺伝子の上流にはHelix-Loop-Helix型の認識DNA配列であるE-Boxが約1kbに5つ存在し、プロモーターの欠失変異を作製して、このE-Boxのそれぞれの役割を検討したところ、最も転写開始位置に近いE-Boxがldの抑制性の働きを受けている事が判明した。そこで現在、このDNA配列に結合する遺伝子の詳細について検討を行っている。また、破骨細胞の分化実験系について現在のところ細胞株としての破骨細胞様細胞は得られていないところから初代培養が主となっており、この点が分化の機構の解析に大きな障害となっている。そこで、Large T抗原を過剰発現するトランスジェニックマウスより得た細胞を用い、破骨細胞を株細胞の培養により分化誘導し得る系を開発し、特に破骨細胞形成を支持する永久細胞株を樹立する事に成功した。今後これらの細胞を用い破骨細胞の分化機能に関わるHelix-Loop-Helix型の遺伝子の発現と、その制御を検討する予定である。
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