研究課題/領域番号 |
05404053
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野田 政樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50231725)
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研究分担者 |
二藤 彰 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00240747)
田村 正人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (30236757)
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キーワード | osteoblast / Transcription / osteoclast / cvtokine / osteoporosis / differention |
研究概要 |
骨粗鬆症の主体を成す骨量減少のの主因は破骨細胞の過剰な活性にあり、この破骨細胞の分化ならびにその機能の制御を検討することが骨粗鬆症の病態整理の研究の柱となるが、現在この細胞を細胞株として樹立することがなされておらず、この準備として本年は破骨細胞支持細胞株を樹立した。即ち、SV40-large-T抗原の遺伝子をもつトランスジェニックマウスの骨髄細胞から酒石酸耐性ホスファターゼが陽性である多核の細胞を形成する支持細胞を樹立した。これらの樹立した核細胞をTM細胞と名付け、その発現形質や形態について検討を行った。TM細胞は紡鐘状の形態を示しコンフルエントになると敷石状の形態を示す細胞であった。TM細胞として酒石酸耐性ホスファターゼ陽性の多核細胞の形成活性において、異なる効率を持つものが数個独立した株として樹立することができた。この形成実験においてはビタミンDの存在下に脾臓の細胞とのTM細胞との共存培養を行った。独立したTM細胞核の中で特にTM8細胞は酒石酸耐性酸性ホスファターゼ陽性の多核細胞の形成を最も効率的に促進し、しかもこのような形成支持機能が低い血清濃度(0.5%)においても尚観察された。TM8細胞はマクロファージコロニー刺激因子(MCSF)や幹細胞因子(SCF)のメッセンジャーRNAを発現していることが明らかとなった。ビタミンD3による処理によりTM8細胞のオステオポンチンのメッセンジャーRNAは10倍以上に増加を示し、この支持細胞がビタミンDの受容体を持つことが推察された。このようなTM8細胞により形成される酒石酸耐性のホスファターゼ陽性多核細胞は骨の表面に吸収窩を形成することが可能であることから、破骨細胞としての機能を明らかに備えた細胞がTM細胞により形成されることが明らかとなった。このような明らかに異なる形成支持機能を示すTM細胞が樹立されたことは、骨髄内において異なった様々の段階の破骨形成支持機能を持つ間質系細胞が存在することを示唆するものである。今回明らかに破骨細胞形成支持機能が大きく異なる骨髄細胞株が複数樹立でき、従来支持機能に重要と考えられていた液性因子やその受容体をそれぞれ同等レベルに発現していたことからこれらの細胞を用い今後破骨細胞形成支持機能に関わる分子レベルの解析を行うのに有効な支持細胞として使用可能であることが明らかとなり、また今後の破骨細胞の生理及び病態生理に関わる分子機構を解析し、骨粗鬆症の病因に迫る有力な手段が得られたものと考えられた。
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