研究課題/領域番号 |
05404057
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
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研究分担者 |
川瀬 哲明 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50169728)
池田 勝久 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70159614)
朴沢 孝治 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20199459)
稲村 直樹 東北大学, 医学部, 講師 (20158760)
小林 俊光 東北大学, 医学部, 助教授 (80133958)
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キーワード | モンゴリアン・ジャービル / 歪成分耳音響放射 / 加齢による形態的変化 |
研究概要 |
モンゴリアン・ジャービルを用いて、加齢に伴う蝸牛の変化を研究する目的にて、まず6カ月未満の若いジャービルの歪成分耳音響放射を測定した。全麻下にて耳骨胞を開放し外耳道にプローブを挿入後入力音圧の周波数比をf2/f1=1.2、f1,f2のそれぞれの音圧をp1=p2に固定しf2を500Hzから16kHzまで78点で離散的に変化させて歪成分耳音響放射を測定し、DP-gramとして表示した。若いジャービル20耳のDP-レベルをコントロールとして加齢による変化を求め、蝸牛の形態的変化と対応させた。初期の研究成果は、京都で開催された国際シンポジウムで発表され、外有毛細胞の変性脱落とDP-レベルの低下に相関のあることを報告した。ひき続いて12カ月から24カ月齢のジャービル、さらに28カ月齢のものまで60耳以上の歪成分耳音響放射測定を行い、さまざまなDP-レベルを得た後、形態的に蝸牛の全回転にわたって電顕的に検索した。現在までに得られたデーターによると12ケ月齢まではDP-レベル上の変化は認められず形態的にも1-2%の外有毛細胞損失が見られる程度であったが、24カ月齢に達するとほぼ正常レベルに留まるものから特に一定の周波数域ではなくさまざまな周波数域にてDP-レベルの低下を示す蝸牛が出現し、同じ動物の左右耳でもレベルの違いが出るなど個体差や蝸牛による差が顕著に現れた。形態的変化との対比によって外有毛細胞損失率が10%未満ではDP-レベルに影響しないが、10%を越えると低下が明らかになる傾向が認められた。28カ月齢から30カ月齢の老齢ジャービルではDP-レベルの低下がさらに著しくなり殆どノイズレベルに達するものも認められた。これらの動物では外有毛細胞の変性が著しくリポフスチン顆粒を多数含み空胞化も随所に見られた。今後はレーザー共焦点顕微鏡を用いて外有毛細胞の機能的側面も検索していく。さらに、歪成分耳音響放射の臨床応用を具体化するために人間における加齢による変化の標準になるDP-gramの作成を急ぐ予定である。
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