研究課題/領域番号 |
05404059
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
馬嶋 昭生 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (00079972)
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研究分担者 |
朱雀 五十四 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (40226486)
池田 晃三 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70244556)
佐野 雅洋 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30215892)
白井 正一郎 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (30080063)
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キーワード | Ctsマウス / グリコサミノグリカン分子種 / 角膜 / 強膜 / 神経堤細胞 / 前眼部間葉異発生 / 家族性滲出性硝子体網膜症 |
研究概要 |
基礎的研究では、遺伝性小眼球症と白内障を発生するマウス(Ctsマウス)を用いて、小眼球に最も関連が深い角膜及び強膜を組織化学的に検討した。すなわち、これらの組織中のグリコサミノグリカンを新しい増感高鉄ジアミン法で染色氏、分子種を決定した。その結果、小眼球症の角膜実質では胎生期にコンドロイチン硫酸ACからコンドロイチン硫酸Bへの変化が遅く、グリコサミノグリカンの組成が未熟であることが判明した。強膜は、正常では胎生16日まではグリコサミノグリカン分子種はコンドロイチン硫酸ACであり、胎生18日以後はBが主体であるのに対し、小眼球では生後21日まではコンドロイチン硫酸ACであり、その後次第にBが出現し28日以後になってACよりBが多くなった。これらの結果から角膜も強膜もともに神経堤由来の組織であり、近年コンドロイチン硫酸プロテオグリカンが神経堤細胞の遊走を制御していることが明らかになったことから、角膜・強膜のコンドロイチン硫酸の質的異常が神経堤細胞の正常な輸送を阻害し、小眼球成立に大きく関与していると判定した。また、Ctsマウスのヘテロ接合体、ホモ接合体と他の正常マウスと交配させたヘテロ接合体とを比較し、小眼球は起きるが白内障の発生には時期、発生部位、程度などに差異がみられることを証明した。 臨床的研究では、神経堤細胞の遊走不全でおきる前眼部間葉異発生である後部胎生環、強角膜症、Axenfeld-Rieger症候群およびPeters奇形の多数例を集め、臨床経過を観察しながら眼軸長を測定して小眼球の発生機序を考察した。また、遺伝的に興味にある家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)の家系例、孤発例を集め、この中で小眼球を呈する網膜ひだ・白色瞳孔の症例を検討し、既存のFEVRの診断基準についての私見を発表した。
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