研究概要 |
これまで歯科用金属材料の機械的性質は引張試験や硬さ試験でしか検討されず,腐食試験についても静的条件下でしか調べられていない.人間の咀しゃく回数は一日約数千回と言われており,さらに口腔内は厳しい腐食性の環境にあるため,口腔内で使用される材料は疲労ばかりでなく腐食にも耐えなければならない.しかし,これまで歯科用金属材料についての腐食疲労については、世界的にほとんど研究されていないのが現状である。この研究では、各種歯科用金属材料について腐食性環境下での疲労試験を行うとともに、異種金属が咀嚼により互いに触れ合う場合や、金属/レジン、金属/焼き付け陶材界面が繰り返し荷重を受けたときの影響について総合的試験を行うことを目的としている。 平成6年度は三ヶ年にわたる本研究の研究期間の中間年に当たり,以下のことを明らかにした。 (1)昨年度に引き続き,各種金属材料の腐食疲労試験を大気中で行い,疲労寿命と応力レベルとの関係を明らかにした。 (2)疲労試験を進める上で新たに問題点としてみいだされた.試験片表面状態と疲労寿命の関係について,表面状態の異なる試験片を用意して詳細に検討した. (3)来年度の行う予定である腐食環境中での疲労試験用の環境用具を作製し,予備実験を開始した。
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