研究概要 |
リン酸エステル系接着剤パナビアEX(以下EX),4-META系接着剤スーパーボンドC&B(以下SB)2種の歯科用接着剤を用いて,直径6mmに加工した18-8ステンレス鋼(SUS),鋳造したニッケルクロム系陶材焼付用合金(77Ni-15Cr-他8,以下 UMT),高カラット金陶材焼付用合金(72Au-13Pt-10Pd-3Ag,以下 KIK)を接着させ,接着界面に垂直な50Hzの繰返し引張応力を加え,繰返し数10^6に対する疲れ強さをステアケース法によって求めた。試験片表面はバフ研磨し,金合金KIK表面にのみスズめっきを施した。また,同様な試験片を用いて静的引張接着強さを測定し,これと疲れ強さとの比(疲れ限度比)を計算して次の結果を得た。 1.例えば,SUSをEXで接着する条件をSUS/EXと略称して測定値を表記すると以下のようになる。 略号 引っ張接着強さ 接着疲れ強さ 疲れ限度比 略号 引張接着強さ 接着疲れ強さ 疲れ限度比 MPa(SD) MPa(SD) MPa(SD) MPa(SD) SUS/EX 69(5.0) 17(1.0) 0.25 SUS/SB 36(5.4) 15(3.5) 0.42 UMT/EX 65(9.7) 20(4.7) 0.31 UMT/SB 40(5.2) 21(3.6) 0.53 KIK/EX 51(3.5) 24(6.3) 0.47 KIK/SB 34(8.4) 16(3.4) 0.47 2.SUS,UMT,KIKの平均接着疲れ強さには有意の差がなく,約20MPaであった。3.スズめっきしたKIK合金の場合を除き,EXの接着疲れ限度比はSBのそれより小さい。4.静的引張試験片はすべて凝集破壊を示したが,接着疲れ破壊試験片では混合破壊が多くみられた。界面破壊面積と接着疲れ強さの相関については検討中である。
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