研究概要 |
本実験ではウサギの口底部にVX2癌を移植し,最長移植8週後までに屠殺し,摘出した下顎骨の軟X線写真を撮影した.次に,その一部は下顎骨を歯頚部から下縁のレベルまでのさまざまなレベルで水平断して樹脂包埋し,研磨片を作製した.すなわち,1匹のウサギの左右の下顎骨からそれぞれ4〜5枚の水平断された研磨片が作製されることになる. このマイクロラジオグラムを観察すると,腫瘍に接した下顎の皮質骨表層はまず虫食い状に破壊され,骨髄側に穿孔すると,各所の骨髄は破壊されて腫瘍と思われる軟組織で占められる.しかもそれは,一見すると不連続性に進展しているように観察される.また,各所ではそれに反応するかのような周囲の骨の硬化像も観察された.しかし,一部では腫瘍がまだ,下顎の皮質骨を穿孔しない状態でも,骨髄腔内では腫瘍によると思われる骨の破壊像がが認められた.この腫瘍細胞がどこから骨髄内に進入したのかは,まだ染色像の観察が行なわれていないため,確定することは困難である.さらに,VX2癌が下顎骨の骨膜に進展した場合の骨膜の反応についてもまだ不明であって,実際の臨床では行なわれている骨の区域切除の意義についてもまだ結論を下すことは出来ない状態である. 全ての研磨片からマイクロラジオグラフィを撮影し,これをさらに研磨してHE染色像から軟組織の変化を観察する予定である.状況によっては追加実験も必要となろう.
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