研究概要 |
1.ヒト歯肉をコラゲナーゼ処理後機械的に擦過し,血管内皮細胞を遊離させた。その細胞懸濁液を96ウェルプレートに均等に播種し,培養した。3-4週間後,形態的に均一でコンフルエント時に敷石状を呈したウェルの細胞を,以後継代培養した。 2.単離細胞の単層敷石状配列.関節免疫蛍光抗体法によるvon Willebrand factorの存在,Ac-LDLの取り込みおよびMatrigel上での血管様網目構造の形式を確認して,ヒト歯肉毛細血管内皮細胞と同定した。分離の成功率は,歯肉提供者の年齢が10-20歳代で16例中5例(31.1%),30歳代以上で35例中6例(17.1%)であった。 3.ヒト歯肉毛細血管内皮細胞は,MCDB 107培地に20%牛胎児血清(FBS), 75μg/mlの内皮細胞増殖因子(ECGS), 30μg/mlのヘパリンを添加した培養条件で良好な増殖を示した。 4.ヒト歯肉毛細血管内皮細胞は,ヒト臍帯静脈血管内皮細胞と比較して,Ac-LDLの取り込みがやや弱く,また,細胞増殖においてFBS濃度依存性が大きいことが観察された。さらに、プロスタグランジンE_2の産生能が高いことが示された。 5.ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を培養細胞伸展装置フレキサ-セルを使用して刺激したところ、間欠的な刺激に対して細胞増殖が促進された。 6.今後機械的刺激に対する代謝産物の変化についても検討を加えていく予定である。
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