研究概要 |
1)チミン2量体(チミンダイマー)を含むDNA断片の合成 適当な保護機を導入したチミジン2量体に紫外線照射を行った後,3'-ホスホアミダイト体とすることによりチミンダイマーを含んだ結合ユニットとした.チミンダイマーを含んだオリゴヌクレオチド(dGCGGTTGGCG)をこの結合ユニットを用いてDNA合成機により大量合成した. 2)チミンダイマーおよびピリミジン(6-4)光産物認識抗体の可変領域(F_V)遺伝子のクローニングと発現ベクターの構築 マウス抗体F_V遺伝子配列のデータベースをもとにして、可変領域H鎖(V_H)及び(V_L)遺伝子のそれぞれの5'側および3'側にプライマーを設計した。紫外線損傷DNA認識抗体を産生するハイブリドーマ細胞から,PCR法によってV_HおよびV_L遺伝子をクローニングし,塩基配列を決定した。 V_HおよびV_L両遺伝子を(Gly_4-Ser)_3というアミノ酸配列を持つフレキシブルリンカー部分の遺伝子(鎖長52merの2本のオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせたもの)を介して,T4DNAリガーゼにより結合させ,scFv遺伝子を得た。 3)scFv遺伝子の大腸菌内での発現とscFvの精製 scFv遺伝子をT7ファージRNAポリメラーゼのプロモーターを持つ発現ベクターに組み込み,大腸菌中で発現させ,scFvの精製を行いSDSゲルクロマトグラフィーで単一バンドを示すscFvを得た。 4)scFvと損傷DNAとの結合 上記のscFvのうちピロミジン(6-4)光産物認識抗体は本損傷を含むDNA断片と結合し,シクロブタンダイマーとは結合しないことを確かめた。
|