GPS(人工衛生測量)を用いた危険斜面の判定と監視

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05404076
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授 (30086061)
• 研究分担者: 低引 洋隆 広島大学, 工学部, 助教授 (40243589) ; 末峯 章 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00109092) ; 平原 和朗 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40165197) ; 福岡 浩 京都大学, 防災研究所, 助手 (40252522)
• キーワード: 地すべり / 斜面崩壊 / 人工衛星計量 / GPS / 災害危険地図

研究概要

1)京都大学防災研究所(本研究の申請者:佐々恭二他)と中国・西安市地震局(謝正章局長)は西安市にある楊貴妃の宮殿の裏山の地すべり危険斜面を合同で調査することに合意し、現在、文部省の特別事業費、国際協力事業団、西安市特別事業費等を得て研究を行っている。この地すべりは年間数mmから2cm程度移動していると推定されているので、ここでGPS測量の特性を活かして山頂の不動部と地すべり斜面内の各測点の相対移動量を監視した。平成5年度に5箇所の測点を設置し第1回測量を行ったが、平成6年度は月約2回観測を実施した。再現性のチェックも行い、3mm以内の高い精度の再現性を得た。華清池内の点および外の点において目立った変位は観測されなかったが、華清池内の点における光波の観測点の変位も認められなかったので、妥当な結果といえる。移動がすくなくなった原因のひとつは地盤沈下対策で地下水の汲み上げ量を減少させたためと考えられる。
2)岡山県・田口池すべり地を試験地として、地すべり地内および周辺の斜面に測量点を12点選択し設置した。5台のGPSレシーバーを用いてGPS測量(Static)を4回行い、どの斜面がクリープしており、地すべり発生危険斜面かどうかの判定を行った。この地すべりは年間2cm程度移動していることがわかっているが、大規模なため(長さ約1.5km)移動土塊の範囲および移動状況が正確に把握できていなかったが、斜面中腹の点で地すべり移動が観測されたが上部では観測されず、地すべり移動範囲の境界がわかった。地すべり地周辺の村落内の測点では移動が観測されなかったが、道路の盛土部分で年間2cm以上の変位が観測され、崩壊の危険があることがわかり、行政当局により対策が講じられることになった。結果として年間1〜2回のGPS測量により5mm以上の斜面の変位は計測可能であることがわかり、不動点を慎重に選ぶ必要があるが、危険斜面の判定にGPSは有用であることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] 福岡・佐々・低引・児玉: "GPSによる地すべり移動観測-岡山県・田口地すべり地およびその周辺における実施結果-" 第33回地すべり学会研究発表講演集. 1. 165-168 (1994)
• [文献書誌] Sokobiki・Fukuoka・Sassa・Kodama: "Obseruation of Loudslide Movement by GPS" International Conference on Loudslides,slope Stability & Safety of Infrastructures,Malaysia. 1. 333-340 (1994)
• [文献書誌] Fukuoka・Sassa・Hiura・Q,Yaug・Z,Lin: "Monitoring of Slope Deformation by Levelling,Extensomoters,Inclinoueters,EDM,and GPS in the Lishan Laudslide" International Work・shop on Prediction of Rapid Laudslide Motion,Proc,Special Session. 1. 93-118 (1994)
• [文献書誌] Suemine・Fukuoka・Konishi・Kodama・Hamada: "Laudslide Observation by GPS" International Workshop on Prediction of Rapid Landslide Motion,Proc,Special Session. 1. 211-226 (1994)
• [文献書誌] Sokobiki・Fukuoka・Sassa: "GPS Monitoring of Laudslide Movement" Proc,Techinical Session of S1.04,IUFRO XX Would Congress. 1(in press). 5 (1995)