研究課題/領域番号 |
05404088
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小澤 瀞司 群馬大学, 医学部, 教授 (40049044)
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研究分担者 |
都筑 馨介 群馬大学, 医学部, 助手 (60222139)
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キーワード | パッチクランプ法 / 逆転写 / PCR法 / 海馬ニューロン / グルタミン酸受容体 / AMPA受容体 / カルシウム透過性 |
研究概要 |
本研究の目的は、電気生理学的および分子生物学的手法を併用することにより、海馬ニューロンのグルタミン酸受容体チャネルの機能的性質とサブユニット構成との関連を単一ニューロンレベルで明らかにすることである。具体的には種々の海馬ニューロンを対象として、ホールセルパッチクランプ法記録の後に細胞質をパッチクランプ用電極内に吸引し、細胞質のmRNAをDNAに逆転写(Reverse Transcription:RT)し、このDNAをPolymerase Chain Reaction(PCR)法によって増幅し、このPCR産物に対して制限酵素解析を行い、当該ニューロンのグルタミン酸受容体チャネルを構成するサブユニットの種類を同定することである。昨年度は主として初代培養ニューロンを対象として研究成果をあげたが、今年度はラット海馬切片を対象としてスライスパッチクランプ法を用いて研究を行った。その結果として、海馬CA1、CA3野放線層の非錐体細胞のなかに、AMPA受容体の電流・電圧(I-V)特性が内向き整流特性と高いCa^<2+>透過性を示すいわゆるII型ニューロンが存在し、これらのニューロンでは時間経過のはやい興奮性シナプス後電流(fast EPSC)がCa^<2+>透過性AMPA受容体の活性化により発生することを明らかにした。また海馬切片中で機能的に同定されたII型ニューロンに対してRT-PCR法を行い、AMPA受容体のサブユニット構成を調べた所、II型ニューロンではGluR2の発現がほとんど検出されなかった。しかし対照として、Ca^<2+>不透過、外向き整流特性を示すAMPA受容体を発現しているI型ニューロンで同様の実験を行った所、一部のニューロンでは予想に反してGluR2の発現が検出できないものがあった。次年度の研究ではこれらの問題点を解明し、脳切片ニューロンを対象としたパッチクランプRT-PCR法を確立したい。
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