研究課題/領域番号 |
05404091
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加我 君孝 東京大学, 医学部(病), 教授 (80082238)
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研究分担者 |
太田 康 東京大学, 医学部(病), 助手 (40251285)
中村 雅一 東京大学, 医学部(病), 助手 (90217894)
室伏 利久 東京大学, 医学部(保健センタ), 助手
山岨 達也 東京大学, 医学部(病), 講師 (60251302)
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キーワード | ABR / 脳死 / 側頭骨病理 / 蝸牛神経核 / 神経病理 / 脳血管障害 / 無酸素状態 / 赤血球 |
研究概要 |
I.症例に基く研究。これまでICUなどにてABRによって脳死と診断した症例の側頭骨病理と神経病理を完成させ、それぞれの連続切片を作製し、比較検討した。ABRはいずれも病院へ搬入された時点では正常波形で、治療にもかかわらず消失し脳死状態となった。消失後、2〜100時間で心停止となった。原疾患は、脳血管障害、頭部外傷、ヘルペス脳炎などである。側頭骨病理では1例のみコルチ器の内外有毛細胞が保たれ、他の5例は完全に脱落していた。一方神経病理では、脳幹の聴覚伝導路の神経核に無酸素状態による核の萎縮、細胞質の膨化が認められた。特に蝸牛神経核の細胞の脱落が顕著で、脳死の物差しとして重要であると考えられた。一方、脳死の際に見い出されるという脳幹内部の血管の赤血球の泡沫状の変化は、我々の例でも1例を除き見い出された。しかし、脳幹の髄外の血管の赤血球並びに蝸牛内の赤血球にはこのような変化は見い出されなかった。以上の事実は、脳幹と髄外および蝸牛の血行支配が異なることを示唆している。 II.動物モデルに基く研究。人工呼吸下のモルモットを用い、不動化後、人工呼吸器を停止し、呼吸の再開後までのABRの変化を調べた。その結果人工呼吸停止後5分以内は、ABRは元に戻るがそれ以外はいわゆる脳死状態となり、ABRは消失しても心活動は続くことがわかった。今後は、CM、蝸電図の同時記録も検討し、かつ病理学的にも調べる予定である。
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