研究課題/領域番号 |
05451001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 亨英 北海道大学, 文学部, 教授 (30008958)
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研究分担者 |
熊野 純彦 北海道大学, 文学部, 助教授 (00192568)
山田 友幸 北海道大学, 文学部, 助教授 (40166723)
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キーワード | 意志 / 行為者 / 善 / 正義 / 想像力 / 非還元的物理主義 / 理由 / 合理的アーキテクチャ |
研究概要 |
初年度は総合的研究を行うための前提として、従来さまざまな方向から試みられてきた行為における意志の位置についての研究を検討・整理した。1.古典哲学的なアプローチの整理については、プラトン・アリストテレスの意志論についての研究を通じて、(1)田中(亨)が善と正義の概念について整理し、(2)中沢が知識論と意志の問題についての関連を整理した。2.倫理学的なアプローチについては、(1)宇都宮が倫理的な意志決定の問題を中心に意志と行為の問題を整理し、(2)熊野が意志と規範との関連を中心に意志と行為をめぐる問題を整理し、(3)田中(伸)が「行為者と行為」というパラダイムを反省し、権利-義務概念にひそむ功利主義的傾向を批判した。3.現象学的なアプローチについては、(1)加藤が判断における意志の役割を中心にフッサール現象学における意志と行為の問題を整理し、(2)吉谷がリクールの意志の現象学を中心に現代フランス哲学における意志と想像力の問題を整理した。4.分析哲学的なアプローチについては、アンスコム的な意志と行為をめぐる非因果説に対置されたデイヴィドソン的な因果説が引き起こした広範な論争に関して、(1)山田が、非還元的物理主義の立場のもとで、理由に基づいて行為する行為者という概念に合理的アーキテクチャの物理的実現という観念によって実質を与え得るという見通しを得、(2)坂井が心的原因説を中心に意志と行為の問題を整理し、(3)中川が出来事の個別化と意志の関係を中心に意志と行為に関わる問題を整理した。
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