研究課題/領域番号 |
05451002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤本 隆志 東京大学, 教養学部, 教授 (20001795)
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研究分担者 |
野矢 茂樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (50198636)
門脇 俊介 東京大学, 教養学部, 助教授 (90177486)
山脇 直司 東京大学, 教養学部, 教授 (30158323)
宮本 久雄 東京大学, 教養学部, 教授 (50157682)
山本 巍 東京大学, 教養学部, 教授 (70012515)
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キーワード | 評価的陳述 / 自然 / 環境 / 他者 / 共同体 / 科学技術 / 宗教的言語 / 応用倫理 |
研究概要 |
本研究は我々のこれまでの「行為論的制作論」のなかに応用倫理学での問題状況を視野に入れるという方法によるものであった。今年度は予備作業として次のような知見を得た。(1)評価という契機を含めた行為と結果の関係は、単なる因果概念では収まりきらないものがあること。そしてJ.S.ミルらの「技術」としての倫理学という構想のなかに、単なる記述的陳述と評価的陳述の対立をのりこえた行為の論理の問題(アリストテレスの実践的三段論法の問題など)を解決する可能性があること。(2)共同体内での複数の立場間の対立が応用倫理学の諸問題の一因子であることを見極めた上で、アリストテレスらに注目しつつ共同体的な人間の人格のありかたを探ったこと。(3)応用倫理学的な問題における共同体内の複数の立場の対立は科学技術の進展なしには考えられず(例えば脳死や地球規模での環境問題)、これを共同体の存立と連関した問題(たとえば権力などの問題)として再考する必要があること。(4)近代的な自律的主体としての人間にとって、環境(自然)が共同体の外に位置する絶対的な他者として位置付けられること。こうした他者(これは最早自然に限ったものではない)との関係をいかに倫理学的のなかで問題にできるかが当面の課題である。(5)また、環境という考え方は前項の自然という考え方に対して主体との連続生ないしは調和を含意する傾向が強いこと。(6)宗教的言語使用のなかに自己と他者が同時に成立する共同体の可能性があること。これを倫理学における共同体の問題にどう連関させるか、またこうした言語使用を制作論的観点からどうとらえるかが注目される。
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