研究課題/領域番号 |
05451003
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
リ-ゼンフーバー K 上智大学, 文学部, 教授 (60053633)
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研究分担者 |
渡部 菊郎 上智大学, 文学部, 助教授 (30191810)
鈴木 宣明 上智大学, 文学部, 教授 (30053531)
シロニス R・L 上智大学, 文学部, 教授 (60053500)
フィルハウス J 上智大学, 神学部, 教授 (70053501)
大谷 啓治 上智大学, 文学部, 教授 (30053557)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 唯名論 / ドイツ神秘思想 / 直観と反省 / 知性論 / 個別者 / 自然科学基礎論 / 合理論 / 唯意主義 |
研究概要 |
本研究は、本年度前半は1330年代から始まり、近世思想の基礎となる諸思潮の発展を解明することに努めた。つまり1.北イタリアに存続したラテン・アヴェロエス主義と、2.特にアウグスティヌス隠修士会によって育まれるアウグスティヌス主義という両極の間に、フランシスコ会学派とドミニコ会学派が主流として哲学思想を形成し続けたが、両方ともいくつかの対立し合う枝に分かれた。3.フランシスコ会学派においては(1)ボナヴェントゥラの思想は一般市民の信心の源泉の一つとなったのに対し、(2)スコトゥス学派がその教壇的・論理的性格のゆえ諸大学において論理的分析と合理論的形而上学の基礎を形成したが、(3)それに対しウィリアム・オッカムとその周辺による唯名論的な形而上学批判は科学的思想の先駆となった。4.他方、ドミニコ会学派において、(1)トマス・アクィナスの神学を体系化しようとする正統的と思われたトマス主義は支配的ではあったが、(2)ドイツ・ドミニコ会員によるドイツ神秘思想へと連続する学派では、アルベルドゥス・マグヌスと彼と通して受け継がれたアラブ哲学者の新プラトン主義的知性論を魂の自己認識と神直観へと深めようとする傾向が見られた。本年度後半ではこれらの諸思想に共通な根本的な問題提起やモティーフを探究した。まず合理論的傾向、経験論的傾向、神秘思想的傾向といる主な傾向を区別することができ、またそれらにとって共通な基本的モティーフを、理性の経験的対象に対する分裂において発見することができた。この分裂の結果として主体と客体が分かれ、一方で対象認識に立脚点を置いた経験主義、他方で理性に重点を置いた知性論の流れに分かれたが、両方とも知性論的な意味で方法・言語・論理学・分析・学知つまり正確性を理念として動いたのに対し、合理論と同様に知性の経験的対象に対する独立を強調した神秘思想は、方法と正確性という理念を法規することによって、中世の根本的宗教的モティーフを持ち続けたことを確認した。
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