本研究の最終年度となる本年度は、過去2年間にわたるグループ研究の成果を月例研究会で報告し、検討した。 各研究テーマは次の通りである。 (1)仏教の根本理念の普遍性と仏教 (2)近現代、欧米思想に与えた仏教の影響 (3)現代社会における密教ブームとその可能性 (4)現代における死の捉え方と仏教 (5)メディアと布教の歴史と展望 (6)釈尊の思想・行動と現代 (7)カウンセリングの技法と仏教 (8)近代仏教における仏教者の役割 (9)仏教社会福祉の可能性 (10)仏教のマーケットリサーチ法 (11)環境問題と仏教思想 これら11の研究テーマにより、仏教の普遍的性格とその時代的な諸側面を踏まえ、現代日本仏教の方向性を多方面的に考えるという初期の研究目的は達成されたといえよう。他方、本研究のメインテーマである仏教の現代的意義という方向性について、今回示された成果に一定の批判が出されることであろう。 しかしながら、本研究は平成3年に上梓された『仏教の人間学』で示した内容の理論的裏付けを行うことが目的であり、単に現代社会における意義の有無を論じたものではない。尚、本研究の成果を基盤とし、仮称『続・仏教の人間学』を平成8年度中に出版する予定である。
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