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1994 年度 実績報告書

「形象」に関する芸術学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 05451011
研究機関東北大学

研究代表者

田中 英道  東北大学, 文学部, 教授 (80000397)

研究分担者 松尾 大  東北大学, 文学部, 助教授 (00119364)
野家 啓一  東北大学, 文学部, 教授 (40103220)
吉田 忠  東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
鈴木 善三  東北大学, 文学部, 教授 (70004033)
岩田 靖夫  東北大学, 文学部, 教授 (30000574)
キーワード形象(Eidos) / カッシーラー / フッサール / プラトン / ディルタイ / ゲシュタルト / フィードラ- / イデア
研究概要

「形象」Formという概念は狭義の意味での美術のそれであれ、広義の意味での自然や社会のそれであれ、あくまで対象そのもののあり方を問題にしている。これは「イデア」だけが本来実在する、というプラトン的な西洋思想に対して、「形象」からそこに精神性、観念性の人間の表現を見出し、自然そのものの人間にとっての意味をさぐる態度から出発している。それはすでにディルタイが形象学的解釈学にも示され、世界観に諸々の類型があるという考察に結ひついている。又ゲシュタルト心理学においての形象の重要性や、又フッサールの現象学における「現象」の中にも包含されるものでもある。カッシラ-は「学術形式」の哲学において、カント的な「悟性」や「感性」の新たなる統合を目指した態度とも関連している。このような広い意味での「形象学」の近代における成果をふまえて、それを「芸術」解釈学とどのような関係を生み出すか考察した。
「芸術論」の系譜をたどればパノフスキーの「イデア」にもあるように、プラトンが芸術を否定し「ミメ-シス」論を展開したがそこには「イデア」だけが存在するのであつて芸術は存在する必要はないものであった。しかし、プラトン主義者たち、プロティノスアウグスティヌスからフィチ-ノまで「芸術」がその「イデア」を反映し、「芸術」こそがそのイデアから発する「美」の顕現であると考えられた。しかしはじめにプラトンが、イデアとエイドス(formの原語と考えられる)を一致したものと見られたものが次第にイデアだけが注目され、形相(エイドス)が二義的なものとなり,アリストテレスにおいては質料との関連においてと考えられるようになった。しかし上記近代の「形象学」は、まさにそれと逆の立場で、物象そのものから発する「現象学」的立場から発している。しかしフィードラ-をはじめとする芸術作品の形成の問題を考えなから、さらに人間の創造物を新たな立場で解釈することが必要となる。上記研究分担者はその立場からそれぞれの分野において成果をあげた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 田中 英道: "日本における折出イタリア美術作品の研究" 美術史学. 15. 1-24 (1994)

  • [文献書誌] Hidemichi TANAKA: "Concezioni scientifiche adomlrate dagli affreschi di Michelanglo" Da Aistotele alla Cind. 1. 94-111 (1994)

  • [文献書誌] 田中 英道: "ミケランジュロとウエルギリウス" 斎藤稔退言記念論文集(広島大学). 1. -15 (1995)

  • [文献書誌] 田中 英道: "フオルムとイデア" 1994年科学研究費報告書. 1. 1-13 (1995)

  • [文献書誌] 松尾 大: "「『この授業でテクストは存在しますか』におけるフイッシユの理論的戦略」" 東北大学 文学部 研究年報. 43. 200-222 (1993)

  • [文献書誌] 田中英道: "天平のミケランジュロ" 弓 立 社, 250 (1995)

  • [文献書誌] 田中英道: "日本美術会史" 講談社, 400 (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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