研究課題/領域番号 |
05451013
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研究機関 | 大手前女子大学 |
研究代表者 |
武田 恒夫 大手前女子大学, 文学部, 教授 (00000357)
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研究分担者 |
冷泉 為人 大手前女子大学, 文学部, 教授 (70122215)
木下 政雄 大手前女子大学, 文学部, 教授 (10000358)
切畑 健 大手前女子大学, 文学部, 教授 (80000363)
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キーワード | 粉本の研究 |
研究概要 |
本年は研究初年度に当り、それぞれの分担者が調査を開始し始めた段階にある。先ず、京都近世画壇における主要な一派を築いた原家の粉本類の調査を挙げたい。 武田は、その中の大徳寺「天瑞寺客殿画縮図」に注目。従来その存在が知られながら実体の不明であった狩野永徳筆、金碧「松図」襖絵の絵様を、原在正の縮図によって具体的に把握することができた。これは、長谷川等伯一派による智積院金碧花木図障壁画とも密接にかかわる参考資料となる。また、目黒雅叙園美術館の「孔子聖蹟図」屏風は、この種最古の珍しい作例であり、島津家久が、慶長13年「等林」に描かせたものである。それは、祖父島津忠良によって、室町時代末期に中国明代の何庭瑞本を元につくらせた原本を写したものであることが判明した。 冷泉は原家粉本の総合的な調査に当り、10数箱に収められたもののうち「縮図類、四季耕作、唐画模写、富士山、絵巻模写、鶏」「神仙、唐山水、舞楽類、鳥類、有職」などの覚書による作家や所蔵者などを選択、撮影、次年度の調査に引き続けることになっている。 切畑は、雛形本にみる小袖意匠の効用を実証するため、例えば、『雛形染色の山』に所収の1図が、奈良県立博物館所蔵の小袖と意匠を一致させている点に注目、ただし技法は注記と異なるとする。逆に、『雛形祇園林』にみる画中注記の技法から実作品をつくる実験にも成功している。 木下は、黄蘗山万福寺の隠元開創にかかる扁額とその下書調査を行い、明代中国禅宗系扁額の技術的側面、特に、材質、法量や厚み書体や書風、筆跡、彫法、彩色、下書との関係などの調査を開始している。
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