MMPIを新たに翻訳した新日本版を標準化する研究を以下の4つの面で実行した。 1)15歳以上の健常者を居住地域・年齢・職業・教育歴について平成2年の国勢調査結果にマッチさせた男女計1022名にMMPI新日本版を実施して標準化し、得られた尺度得点を基にT得点表を作成し、同時に項目毎の是認率を算出してミネソタ原版との等価性を確かめた。 2)12歳から18歳までの男女青年集団計1477名にMMPI新日本版を実施して、年齢別に各尺度得点からT得点を求め、これの成人標準化集団との差異を検討した。 3)MMPI新日本版の全項目について「社会的望ましさ」の尺度値を大学生140名の評定者から求め、Messick&Jackson(1961)のデータと比較し、社会的望ましさ面での等価性を確かめると共に、宗教等についての項目における文化差を見出した。 4)日英のバイリンガル被検者を全国及び米国から選び、男女179名に郵送調査方式で実施したミネソタ原版と新日本版の結果からプロフィールと尺度レベルにおける新日本版の等価性を検証した。 以上の諸側面から新日本版がミネソタ原版と比較可能な性質をもつことを検証することができたので、ミネソタ原版で得られた諸結果を新日本版に適用できる見通しがついた。
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