研究課題/領域番号 |
05451032
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
今野 裕昭 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (80133916)
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研究分担者 |
高橋 英博 宮城学院女子短期大学, 教養科, 教授 (80206838)
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キーワード | 大都市衰退地区再生 / まちづくり運動 / コミュニティ施策 / 住民主体 / 都市の地域構造 / 地域住民組織 / 地域ネットワーク / 共同性 |
研究概要 |
今年度得られた知見:1.神戸市が住民の活動を活性化させる触媒的効果を意図的に狙った直接支援をしているほかは、各市ともそのコミュニティ施策はコミュニティ形成に向けて体系化されていない。2.「まちづくり」の協議会にあたる組織は、墨田区では行政サイドからつくられ、真野や平野では住民サイドから内発的に出てきているという性格が強い。この両者の違いは、住環境の共同管理にむけての住民の意識変革と、住民組織の自治的運営を可能にする地域構造の創出、具体的には町会一元化体制の解体(町内会の機能転換)と地区内諸集団の緩やかな連携構造の獲得から生じる。3.一寺言問の協議会議構成は、成員の活動に自由さをもったポランタリー集団が一団体、各町会と対等の位置づけで入っており、この構造が地域の活動を活性化させている。同様のポランタリー集団の重要性は平野の場合にもみられ、この集団が地域振興会とダンジリ祭りの組織からなる伝統的なしくみを媒介している。4.真野では「まちづくり」が始まる以前の公害反対の住民運動、高齢者を対象にした地域福祉活動の中から、地区内諸集団の緩やかな連携構造が獲得された。5.京島では商店街青年部の活動の中に地域活動活性化の芽を見出すことができ、一寺言問では一町会の運営の中に地域活動の活性化が芽生えているが、いずれも地区全体にまでは拡大していない。6.上尾では中間集団としての協議会組織がなく行政が直接住民個人に働きかけているが、ホワイトカラー層が多いという住民の階層性による(京島、真野、一寺言問は、自営業者、ブルーカラー層が多い産業空洞型インナーシティの密集市街地)。7.阪神大震災で真野の住民は、いち早く地区の自治会の連合体をつくり救援物質を地区住民の末端まで平等に配布する体制をつくりあげたが、これまでの「まちづくり」によるコミュニティ形成の蓄積がその基礎になっている。
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