1994年12月〜1995年1月にかけて、仙台圏(仙台北学区・南学区)の16の高校・高専において、高校2年生とその父母を対象とした「教育と社会に対する高校生の意識」第3次調査を実施した。その結果、高校生1533名、父親1200名、母親1344名から回答が得られた。今回の調査票で採用した主要な項目は、親の教育期待と子ども(高校生)の教育・職業アスピレーション、親子の社会意識・価値意識、家族の文化資本と学校文化、高校生のメディア接触などである。 調査データの本格的な分析は、来年度に行うことにしているが、今年度は基礎集計を中心とした第1次調査報告書(速報)ならびに学校別集計表を作成し、調査に協力いただいた高校生・父母および学校に配布した。この段階の分析から言えることは、以下のとおりである。 まず、家族の文化資本については、親世代と子世代に違いがみられ、社会問題に対する関心は親世代の方が高いことがわかった。また、文化的関心については、親世代・子世代とも性差がみられ、いずれも女性の方が関心が高くなっていた。また、高校生メディア接触にも性差がみられ、男子ではテレビゲーム、女子では電話への接触時間が長いことが明らかになった。社会意識については、父親に比べ、高校生および母親で不公平感が高いこと、また男性(父親・男子)ほど実力本位の社会が望ましいと考えていることがわかった。伝統や権威に対する態度では世代差がみられ、親世代ほど上下のけじめや法律を重視していた。 今後は、親子間の文化資本や社会意識の関連について分析をすすめ、それが学校文化を媒介にしてどのようにアスピレーションの形成に結びついていくのか考察をすすめたい。
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