高齢者が積極的に相互扶助行動に酸化するのはそれほど容易ではない。一つに、高齢者自身が自分の生活に閉じ込もりがちであることがあり、他に、それを助成するような社会環境が整っていないことがある。 そこで、本研究では、今年度、予備調査として、高齢者本人、および社会環境の充実に重要な責任をもつであろう人の双方にインタビューを実施した。すなわち、高齢者としては、一人暮し老人と夫婦のみで生活している老人、社会環境の整備に関係する人としては、これらの老人の世話をしている民生委員、その市の老人福祉課の職員、およびその地区で最も地域情報を報道するにふさわしいと思われるその地区のCATVの社員である。 そのなかで市の福祉担当職員に関していえば、健常である高齢者は余り関心の対象になっていないことが特徴的であった。その理由の一つは、インタビューを実施した市の高齢者福祉水準がそれほど高くなく、寝たきり老人とかの要介護老人への対策に追われていることがあげられる。健常者老人の自助努力を積極的に行政のなかに取り入れていこうとする気迫が感じられなかった。高齢者の自立的行為が高齢者対策の重要なリリースであることからすれば、行政態度に大きな欠陥があるように思えた。また、市長の動きが鈍いことも問題の一つであった。当該市では、それはまだ実現していないようである。 次に、CATV関係者であるが、当該CATVがまだ加入者がすくないこともあってか、非常な関心を示していた。CATVが地域情報の主たるメディアになりえることを思うとき、CATVの潜在可能性が実感できた。CATVと行政、CATVと市民、CATVと各種団体の連係プレイが望まれる。
|