研究課題/領域番号 |
05451056
|
研究機関 | 国立教育研究所 |
研究代表者 |
喜多村 和之 国立教育研究所, 教育政策研究部, 部長 (30034664)
|
研究分担者 |
吉本 圭一 放送教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (30249924)
伊藤 彰浩 国立教育研究所, 教育政策研究部, 研究員 (60193471)
|
キーワード | 大学 / 高等教育政策 / 大学院 / 大学カリキュラム / 自己点検・評価 / 大学設置基準 |
研究概要 |
平成6年度は、前年度に引き続いて、大学設置基準の改正にともなう大学の事例調査と、全国の国公私立大学の大学院研究科悉皆調査の実施に基づき分析を行った。知見としては以下の諸点が挙げられる。 (1)学部課程においては、大学設置基準の大綱化はカリキュラム改編や学部一貫教育体制の整備を各大学にうながす契機となっており、大学の自由裁量の拡大は、原則的に歓迎されている。但し、そこでみられる改革の方向性は必ずしも明確でなく、何のためのカリキュラム改革かについて合意が成立しているとはいえない場合が少なくないし、全般的に従来の一般教育の科目や部局の位置づけが弱体化し、専門教育科目や専門学部へのいっそうの傾斜が目立つなど、大学教育の基本的性格に混乱を来している場合も多い。また大学現場では「改革」作業のため多忙を極め、教育・研究上の時間が減少し、かつカネ・ヒトの不足など、大学の将来にとってゆゆしき事態が生じているとの指摘も多かった。 (2)自己点検・評価活動は多くの大学で実施に移され、現行の教育・研究活動を改めて検討する上にはよい契機となっている。ただし、過度の形式化の弊害も指摘されている。なお、外部評価は少なくとも5校の国立大学で実施され、それぞれ実質的な評価活動が行われたが、評価者の人選や予算の問題が指摘されている。 (3)大学院重視政策によって全国に大学院拡充の動きが拡大しつつあるが、資源の限界によって量的拡大に伴う質的低下をどうするか、研究者養成と専門職業人養成のどちらをとるのか、社会人や外国人留学生の受け入れにどう対処するのか、等々の問題において、多くの大学院は明確な方向を見いだせておらず、いわば生みの苦しみの只中にある。
|