研究課題/領域番号 |
05451058
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (00114497)
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研究分担者 |
寺嶋 秀明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10135098)
徳丸 亜木 筑波大学, 歴史・人類学系, 助手 (90241752)
前川 啓治 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (80241751)
関 一敏 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (50179321)
牛島 巖 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (10091886)
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キーワード | パトロン・クライアント関係 / 市場流通網 / 畜友関係 / 民族誌的比較研究 / 互酬論 / フナダマ信仰 / 共生関係 / 経済人類学 |
研究概要 |
本研究の目的は以下の3点である:1.商品資源の生産様式とその流通機構ならびに取引形式を社会経済的視点から分析する。2.パトロン・クライアント関係の形成過程と維持機構を贈与論、互酬論、負債論の視点から分析する。そして3.パトロン・クライアント関係が当該社会と地方経済で果たす社会・経済的機能を分析する。これらの課題を解明するために、平成5年度には個別研究と3回の共同研究がもたれて、以下の問題が解明された。 遊牧社会における畜友制度は、互酬原理に基礎づけられた自発的な二者関係として把握できるが、遊牧社会においては、親族組織によって強く拘束されるものから逆に親族関係を組み込んでいるものまで認められる。ピグミー族は、特定の集落と上下関係の差異を前提にした共生関係を農耕民と形成し、それがかれらの世界観にもなっている。さらに、セブ島北部の漁村における漁獲の流通網を維持しているスキ関係は、漁民、仲買人、漁市場から構成されているが、これらの三つのセクターは、信用取引と資金の貸付といった経済関係だけでなく複雑な顧客関係によっても結び付けられている。 本研究によって、パトロン・クライアント関係は、民族誌的資料によってその多様性が明らかにされたが、それを統一的に把握できる理論的根拠が現在模索される段階である。現時点では、その分析点としては、パートナーの身分差、仲間的な対等性、通世代的な持続性、共体性などの社会的側面と経済的取引の特性とその損得特性などが析出されるにいたっている。このような分析を踏まえて、贈与論、互酬論、負債論などの理論的妥当性を再吟味する必要がある。
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