本年度は、これまで調査を継続してきた栃木県大平町榎本の綿密な民俗調査と、新たに選定した大阪府寝〓川市国守の概観的調査をそれぞれ数回にわたって実施した。その結果、【.encircled1.】かつて劣悪な生活環境のもとで部落産業と称される職種を中心としながらも、多様な職種が認められること、【.encircled2.】同和対策事業によって生活環境はかなり改善、整備されているが、職種はあい変らず不安定なものが多いと、【.encircled3.】民俗儀礼的には、かくあるべしとする観念力希薄で、家ごと、その時々の経済的状況によつて左右されることが大きい等々が明らかとなった。 こうした調査結果を踏まえ、次年度には、榎本地区の場合、補充調査を加えて周辺一般地区との対比をしながら、民俗誌をまとめることとし、寝屋川市国守の場合は、集落の規模が大きく、都市化が若しいところから、早急に民俗誌のまとめは行わず、問題点を浮き彫りにした調査を継続させることにした。
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