第1に、交付直後8月に、赤外線テレビカメラ一式を設置することができた。時あたかも出土中の八幡林遺跡から木簡と墨書土器が大量に出土しており、早速にその調査に当たることができた。その成果の一端は、平成5年度調査の現地説明会の資料と説明(『新潟日報』11月4日朝刊記事)や、12月4〜5日の木簡学会資料に報告されている。これほどの量ではないが、南蒲原郡栄町大坪遺跡の墨書土器、中頚城郡吉川町寺町遺跡の木簡、西蒲原郡黒埼町などの調査研究に使用することができた。その中で貴重な新出資料が得られた。 第2には、科研のテーマ「古代国家における北疆支配の特質」をひろく検討するために、県内佐渡・青森・秋田・宮城・石川に出土資料と出土遺跡の調査、また関連する文献的な資料調査のために、東大史料編纂所・国立歴史民俗博物館・京都大学文学部博物館・奈良国立文化財研究所等に出張し、基礎的な資料の収集と状況把握に努めた。 第3には、新潟県内の墨書土器の資料的整備を進め、その報告書を次年度に刊行するために、その出土状況の把握とデータ収集のために新潟県教育委員会文化行政課職員の協力を得て県内112市町村に調査依頼を行ない、その調査結果の返送をまち、大学院生の協力を得て逐次整理作業を進めてきている。なお未回答の市町村からの回答も得ながら、全県的な検討会を行ない、その原稿化と刊行に結び付ける予定である。 第4に、八幡林遺跡出土文字資料の調査成果や県内各地と佐渡への調査の成果をもとに、中間的報告ではあるが2つの論文を執筆した。
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