研究課題/領域番号 |
05451063
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
広川 禎秀 大阪市立大学, 文学部, 教授 (30047237)
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研究分担者 |
原田 敬一 仏教大学, 文学部, 助教授 (70238179)
植田 浩史 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (10213357)
塚田 孝 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (60126125)
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キーワード | 都市諸階層 / 部落史 / 都市支配 / 民衆意識 / 中小企業史 / 下請制度 / 近代の大阪 / 都市名望家 |
研究概要 |
(1)(1)近世大坂における町人の地域、集団、経営の実態について、茶屋株・茶屋仲間・茶屋経営者の分析を進め、元伏見坂町などの古町と曾根崎新地・堀江などの開発地では仲間統制や経営のあり方に差異がみられてくることを明らかにした。すなわち、開発地では茶屋株は茶屋の直接経営を意味するものではなく、経営と分離して収益をもたらす権益として売買・質入れされた。また、古町の茶屋経営者においても茶屋経営と金融貸付業や町屋敷経営が有機的に連関しながら、多角的事業による資本拡大が目指されていたことが明らかになった。(2)明治前期大坂の都市法制について、近世的利益社会から近代資本主義的利益社会への転換という視点から解明を進めた。集団・家・不動産から個人・動産への編成基準の転換、地域と国家の対抗関係を孕みつつ進行した都市法制転換の構造が明らかになった。(3)戦時期の教員層の動向については、国民精神総動員運動から大政翼賛会への進展の中で下から能動的に呼応した青年教師団の分析を進めた。文部行政の官僚主義に不満をもつ青年教師層が民族的危機意識を根拠として「教育の革新」をめざすが、精動運動や新体制運動に統合される過程で教員の生活要求は捨象されて大政翼賛会体制構築の基礎となったことを明らかにした。(4)民衆に関する歴史的研究の基礎的前提として口述史料の史料的価値や学問的意義について検討をおこなった。口述史料は、地域の錯綜した支配・従属関係の下の民衆や抑圧体制下の民衆意識の解明に大きな有効性をもつことが明らかになった。 (2)近世大坂の地域史料・経営史料、近代大坂地域の基礎史料、戦前期大阪の企業家に関する史料、戦前期の教育関係史料、戦時期の教員団体史料など、都市諸階層の動向に関する史料について収拾と整理をおこなった。
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