中国知識人の精神構造の展開についての史的研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05451066
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 三浦 秀一 東北大学, 文学部, 助教授 (80190586)
• 研究分担者: 熊本 崇 東北大学, 文学部, 助教授 (00153354) ; 安田 二郎 東北大学, 文学部, 教授 (90036666) ; 寺田 隆信 東北大学, 文学部, 教授 (80004034) ; 花登 正宏 東北大学, 文学部, 教授 (60107175)
• キーワード: 中国 / 知識人 / 士大夫 / 文人 / 精神生活 / 政治活動 / 信仰生活 / 宗教活動

研究概要

平成6年度は、昨年度蒐集した文献の調査・整理を継続しつつ、新たに、中国知識人の精神生活のうち特に宗教活動にかかわる文献に重点をおき、蒐集・解析を行った。これにより、中国知識人の日常生活における宗教的立場・心情の分析が可能となった。また、3月上旬に、研究代表者の三浦、分担者の中川を研究成果発表者として、研究会を開催し、主に中国中世から近世にかけての、知識人たちの意識・活動について、各研究分担者が問題点を提出するとともに、討論を行った。
現在、各研究分担者が、次々と研究成果をまとめつつある。中でも、寺田の「The Chinese Gentry」、「明末北京の官僚生活について」は、主として中国知識人の政治・経済的活動に重点をおいて、彼らの特徴・性格を浮かび上がらせている。遠藤の「中国近世宗族論の展開 -士大夫研究への一視角-」は、彼らの生活を支えた、血縁・地縁関係に着目し、政治・文化の表層に表れにくい部分を照射することで、当該研究に新しい知見を示している。三浦の「金朝性理学史稿」、「金末の宋学」は、当該分野の研究において、従来、さほど重視されていなかった時代・地域に焦点をあて、また、村上の『漢詩と日本人』、山田の「伊達政宗の『獨眼龍』 -中国的故事あるいは制度受容の-面-」は、当該分野における深い理解に基づいた上で、さらにわが国の文化との接点に着目しており、研究の視野に広がりを与えるものである。
平成7年度は、昨年度・今年度の成果をふまえつつ、年度はじめに会合をひらいて、各分担者からの研究報告を行うとともに、統括的討論をする。そのうえで、統合的考察を加え、分担者が各自最終的な論文をまとめ、研究報告書として公刊する。

研究成果

• [文献書誌] 三浦 秀一: "金朝性理学史稿" 文化. 58-3・4. 33-53 (1995)
• [文献書誌] 三浦 秀一: "金末の宋学" 東北大学文学部研究年報. 44. (1995)
• [文献書誌] 三浦 秀一: "〓経小論" 平成六年度教育研究学内特別経費研究報告書「社会と文化における中心と辺境」. 1. (1995)
• [文献書誌] 山田 勝芳: "境界の官吏 -中国古代における冥界への仲介者-" 歴史. 83. 84-102 (1994)
• [文献書誌] 山田 勝芳: "伊達政宗の「獨眼龍」-中国的故事あるいは制度受容の一面-" 国際文化研究. 創刊号. 155-168 (1994)
• [文献書誌] 遠藤 隆俊: "中国近世宗族論の展開 -士大夫研究への-視角-" 集刊 東洋学. 71. 85-100 (1994)
• [文献書誌] 花登正宏: "「古今韻会挙要」の依拠した音系について" 平成六年度教育研究学内特別経費研究報告書「社会と文化における中心と辺境」. 1. (1995)
• [文献書誌] 寺田 隆信: "The Chinese Gentry" 文化. 57-3・4. 81-91 (1994)
• [文献書誌] 寺田 隆信: "明末北京の官僚生活について" 東北大学文学部研究年報. 44. (1995)
• [文献書誌] 中川 諭: "明代長編小説における「文繁本」と「文簡本」および『三国志演義』諸本三系統の関わり" 東北大学文学部研究年報. 44. (1995)
• [文献書誌] 中川 諭: "江戸時代後半における『三国志演義』の受容-酒落本『讀極史』を題材にして-" 集刊 東洋学. 71. 76-84 (1994)
• [文献書誌] 大西 克巳: "『藏書』世紀の編纂意図" 集刊 東洋学. 71. 37-56 (1994)
• [文献書誌] 村上 哲見: "漢詩と日本人" 講談社, 269 (1994)