研究課題/領域番号 |
05451069
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤本 和貴夫 大阪大学, 言語文化部, 教授 (70029734)
|
研究分担者 |
中谷 功治 大阪大学, 文学部, 助手 (30217749)
江川 温 大阪大学, 文学部, 助教授 (80127191)
堀井 敏夫 大阪大学, 教養部, 教授 (90025049)
川北 稔 大阪大学, 文学部, 教授 (70107118)
合阪 學 大阪大学, 文学部, 教授 (50027976)
|
キーワード | 言語政策 / 政治支配 / 第一次大戦 / 民族運動 / ロシア帝国 / オーストリア・ハンガリー帝国 |
研究概要 |
本年度は旧ソ連・東欧、イギリス、フランスの近現代史の研究に重点を置きつつ、言語と政治体制・政治支配の関係について検討した。研究代表者の藤本は旧ソ連・東欧の崩壊の過程で再生した民族運動のなかで、バルト3国、ウクライナ、ベラルーシなどにおける民族言語の復権をめざす運動が既存政治体制の転換に果たした役割を、国内の民主化運動や環境破壊を告発する運動などとの比較で検討し、言語再生運動が民衆運動の原動力としてもつ力の大きさを確認した。 またこの民族言語再生運動は第一次世界大戦後のロシア帝国やオーストリア・ハンガリー帝国の崩壊にともなうナショナリズムの高揚のなかでも見られる。その際、オーストリア・ハンガリー帝国が諸民族言語に一定の自律性を与えていたのに比べて、ロシア帝国ではフィンランドなど一部を除きロシア語が強制されていたため、これがロシア帝国内の諸民族の革命運動と結びつき、諸民族国家の独立後は民族語の開花をもたらせた。しかし、それぞれ独立した国家はそのなかにまた別の少数民族やロシア人をかかえており、今度は彼らに国家語として独立国家の民族語を強制することで、新たな紛争を呼び起こすことになった。現在バルト3国などがロシア語を法的に締め出そうとすることで、ロシアとの対立を生み出しており、多民族国家における言語政策を国際関係と結び付けて研究することも必要なことが明らかになっている。 また川北・松浦は大英帝国の拡大・強化にはたした英語普及政策、堀井はフランス語教育の問題をとりあげ、国家権力による言語政策の成功度と国家支配の安定性の度合について討論した。
|