研究課題/領域番号 |
05451069
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤本 和貴夫 大阪大学, 言語文化部, 教授 (70029734)
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研究分担者 |
中谷 功治 大阪大学, 文学部, 助手 (30217749)
江川 温 大阪大学, 文学部, 助教授 (80127191)
川北 稔 大阪大学, 文学部, 教授 (70107118)
合阪 學 大阪大学, 文学部, 教授 (50027976)
堀井 敏夫 大阪大学, 文学部, 教授 (90025049)
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キーワード | 言語政策 / 政治支配 / アイルランド問題 / ゲ-ル語 / ギリシア正教 / ギリシア語 / パリ方言 / 国家語 |
研究概要 |
平成5年度に行われた旧ソ連・東欧(藤本)、イギリス(川北、松浦)、フランス(堀井)の近現代史における言語と政治体制・政治支配に関する研究によって、多民族国家における言語政策を国際関係と関係づけて研究する必要があること、また国家権力による言語政策の成功度と国家支配の安定性の間に密接な関係があることが具体的に明らかにされた。 本年度はこれらの問題提起を受け研究会を組織し、森本がイギリスにおけるアイルランド問題を14世紀以来のケルト民族であるアイルランド人に対するイングランド諸侯の侵略とその言語政策という側面から検討し、英語によるゲ-ル語使用の淘汰の歴史的過程を明らかにした。しかし20世紀の現在でもゲ-ル語を母語とする人々は西部海岸地帯に少数ながら残っていること、またアイルランド共和国では英語とゲ-ル語を公用語として、学校教育でゲ-ル語を再教育することにより、国家の自立がはかられていることの意味の重要性が強調された。 さらに竹中がドイツの近代化における言語問題、合阪と中谷が古代・中世における言語と政治支配の関係について問題提起し検討した。合阪はローマ帝国支配下のギリシア語使用集団に対する帝国の政策を、中谷はギリシア正教が布教において、ラテン語ではなく諸民族語での祈祷を認めたことが、正教会のスラブ民族圈への拡大に大きな意味をもったことを具体的に明らかにした。また江川は中世後期北フランスのパリ方言が国家語となる過程を国権との関係で考察した。
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