研究課題/領域番号 |
05451070
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
垂水 節子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (60171906)
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研究分担者 |
野村 文男 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (70020427)
田村 一郎 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (30047906)
尾野 比左夫 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (40071534)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | ヨーロッパ近代 / エリート文化 / 民衆文化 / リチャード3世 / フリーメーソン / ストライキ / 子どもの権利 |
研究概要 |
各人がこの3年間に発表した個別研究の成果は次頁のごとくで、ここでは共通テーマとの関連性について述べたい。1〕尾野は近年出版した『バラ戦争の研究』(近代文芸社、1992年)を継承・発展させて、「イギリス絶対主義王制成立期の政治文化」を分担テーマとした。そして絶対主義の成立とされるテューダー朝が、自らの正統性を根拠づけるためリチャード3世「悪人」伝説を形成、かつアーサー王伝説を流布させた。それがイングランド中心部とウェールズという周縁的地域の双方の支配に多いに寄与したことが、中心論点である。2〕田村は「フリーメーソンを中心とする18〜19世紀ドイツの民衆」という分担研究で、既に文部省刊行助成による『18世紀ドイツ思想と「秘儀結社」』(多賀出版 1994年)を出版。ついで、ゲーテの有名な教養小説「ヴェルヘルム・マイスター」2部作にみられる、「秘儀結社」理念の変化を考察。そして文人ゲーテの「秘儀結社」の理想像が、「工業化」の始動という時代背景の中で変化してゆくさまは、まさにエリート文化と民衆文化の接合の模索と言えよう。3〕垂水は「民衆文化と労働者文化」というテーマの下にストライキ研究を試み、20世紀初頭・中部ドイツを舞台とする事例研究を重ねつつある。完成した1911年褐炭鉱夫ストライキ論では、組合組織率が高く、一見極めて「近代的」な、この集団行動を支えたのはシャリバリ的な前工業化時代からの「民衆文化」だったことが、主要論点である。また1903年ザクセン・クリミチャウ繊維労働者のストライキを目下研究中で、ここでは事件の「神話化」を問題にするが、尾野の「伝説」論からの影響大である。4〕野村は「子供の権利条約」を採りあげ、伝統的なエリート文化の下方普及である学校制度と、難民をふくむ民衆の生活様態の矛盾の考察を中心に、「子ども文化」を問題にしつつある。
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