研究課題/領域番号 |
05451073
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (80201052)
|
研究分担者 |
桜井 清彦 昭和女子大学, 大学院・生活機構研究所, 教授 (60063195)
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
菊地 徹夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (00147943)
|
キーワード | エジプト / マルカタ南 / 魚の丘 / 彩壁画 / 新王国時代 / アメンヘテプ3世 / 壁画の復元 / 保存修復 |
研究概要 |
本課題研究の初年度にあたる平成5年度においては、これまで実施してきた「魚の丘」出土彩画片の保存処理方法を再検討した。再検討を実施した項目は以下のごとくである。【.encircled1.】ソックスレー抽出器による壁体保護ワックス除去方法の是非、【.encircled2.】顔料定着と壁体強化のためのアクリル樹脂の濃度と含浸方法、【.encircled3.】彩壁画支持体の残し方、【.encircled4.】保存処理時の彩色層保護のためのルタノールによる表打ちの是非、【.encircled5.】脱塩の必要性とその方法、【.encircled6.】表打ちの除去方法、【.encircled7.】修復処理の記録方法の7項目である。紙数の都合により詳細を全て記述することは不可能であるが、【.encircled2.】においては、従来パラロイドB72の溶剤として5〜7%トルエン溶液を使用していたものを10%のキシレン溶液に変更した。【.encircled3.】では、これまで支持体を全て除去して顔料層のみを保存していたものを支持体を2〜3mmの厚さの範囲で残すこととした。【.encircled4.】〜【.encircled6.】については、従来の方法である彩色の表打ちをルタノールに代えて水溶性のHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を使用することによって水を通し脱塩する効果が付加したことが特筆すべきことである。ただし、文化財の保存処理は、個々の資料によって資料の置かれている状態や細部の構造等が異なっているため、保存処理を実施する上で現状を正確に把握することが肝要である。また「魚の丘」遺跡は新王国第18王朝のアメンヘテプ3世の造営であり、ルクソール西岸の王家の谷・西谷にある同王の墓を研究代表者が中心となり調査研究を継続中であり、建造物の設計寸法系の研究や墓内部の壁面装飾(壁画)等の研究が本課題研究を遂行していく上で極めて貴重な資料を提供している。さらに「魚の丘」出土彩画片の図柄のパーソナル・コンピューターへの入力作業や王墓以外の同時代の岩窟墓の壁画資料の収集作業、写真撮影等も併せ実施した。
|