共通語化のいちじるしい現在、その程度は、年齢、階層などの属性のほか、個人の価値観、意識などによっても異なることを方言コンプレックスの強いとされている東北地方において検証した。 本年度は、福島県浜通りの小高町と岩手県大船渡市において、住民の意識調査と音韻、アクセント、文法、語彙、にわたる言語使用の実態調査を実施した。小高町においては市街地住民と農村部住民とに分け、老年、中年、若年、学校生徒の四層の男女各層20名以上、合計104名の調査を完了、大船渡市においても同様の年齢層と人数について、言語意識についての調査を完了した。 その結果、福島県浜通り対三陸地方とで言語意識に有意味の差があること、また、市街地と農村部でも言語および意識に差があり、それが年齢、階層とも絡んでいるだけでなく、各人の生活態度、価値観、個性とも大きな相関関係にあることが統計的にも裏付けられた。もっとも、これはアクセントと語彙で事情が異なっているという事実もある。次年度は都市で調査をし、これらと比較したいと思う。
|