本年度は研究の第1年度であり、文献の収集・整理のほか、次の通り研究を行った。 (1)カード破産の実態の調査 クレジットカードの発行状況、これについての法的規制の現状、カード所持者がカード破産に至る原因・その回避の可能性、カード破産者の実像、破産後の債務者の生活状況等について、カード発行会社、ノンバンク、消費者行政窓口、弁護士事務所等から、実態をヒアリング調査した。この調査には、私が、東京大学大学院で行っている『カード破産と免責』と題する演習の参加者の協力を得た。 (2)比較法的研究 現在進行中のドイツ破産法改正作業のうち、個人債務者の破産免責の規定とこれに関する議論について、最近までの資料に基づきフォローした。 (3)裁判所における免責実務の実態調査 東京、大阪、福岡等の調査に基づき、東京地裁を中心として現在広く行われている、裁判所の裁量による「一部免責」および「免責前の一部弁済」の実務について、その適法性とその問題点を研究した。その成果が、「免責前の一部弁済と一部免責について-その適法性と問題点の検討」(月刊消費者信用'94-2)である。
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