研究課題/領域番号 |
05451099
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
名和 鐡郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (70022423)
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研究分担者 |
葛野 尋之 静岡大学, 法経短期大学部, 助教授 (90221928)
田淵 浩二 静岡大学, 人文学部, 助教授 (20242753)
小沢 隆一 静岡大学, 人文学部, 助教授 (60224226)
橋本 誠一 静岡大学, 人文学部, 助教授 (90208447)
松田 竹男 静岡大学, 人文学部, 教授 (30022437)
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キーワード | 外国人 / 犯罪 / 国際化 / 刑事手続 / 少年犯罪 / 受刑者 |
研究概要 |
1.3年計画の研究の初年度として、今年度は主として基礎的なデータの収集・整理・分析や関係機関・施設の調査・視察を行った。 2.断定的な結論はまだ下せないが、とりあえずのデータ分析からは次のような印象を受けている。 (1)外国人による犯罪にせよ外国人に対する犯罪にせよ、一般的傾向としては増加基調にあるが、その件数、罪種、国籍等は、日本の社会・経済情勢をきわめて敏感に反映し、変動がはげしい。 (2)外国人犯罪の予防は、もっぱら入国管理の強化や不法就労者の取締りなど、犯罪を犯したり犯罪の被害者となりやすい外国人の除去という観点でしか考えられておらず、外国人の生活環境の整備や日本人社会への受容という本来的な対策は非常に立ち遅れている。 (3)外国人被疑者・被告人に関わる刑事手続については、通訳センターの設置や取調べ・公判手続の録音など、それなりの対策が講じられつつある。通訳人の養成などにはかなりの期間を必要とするから、対策が対症療法的なのはやむを得ないとして、最大の問題は、密室取調べや接見制限などの日本的捜査方法を改善しようという傾向がほとんどみられないことである。通訳体制の整備や取調べ・公判手続の録音にしても、録音テープの非公開に見られるように、もっぱら捜査・訴追サイドの都合しか考えられていない。 (4)外国人受刑者の処遇についても、一定の対策が講じられているとはいえ、物的・制度的な改善は大きく立ち遅れており、そのことが、刑務官に対する受刑者の人格的依存(「日本的行刑」!)を強化する方向に働いている。 3.以上の指摘はあくまで現段階での「仮説」であり、平成6年度の研究でその実証と代替政策の提起を試みる予定である。
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