今年度は、研究計画の第1年度として、調査研究のための環境整備と、第1波の調査の実施およびデータ作成を行った。 環境整備としては、各選挙区に関する資料の収集、候補者に関する刊行された資料の収集、データベース化のためのコンピューターソフトの導入、調査現場で情報を直接入力するためのノート型パソコンの導入など、ソフト・ハード両面における整備が行われた。 第1波の調査は、1989年および1992年の二度の参議院議員選挙における、候補者本人に対するアンケート方式による調査を中心に行われた。これらの選挙におけるすべての女性候補243名と、比較分析のために女性候補と同じ様な立候補条件をもつ男性候補79名の、計322名を対象に、11月に郵送法による調査が実施された。折りから、参議院においても米の輸入自由化問題や政治改革法案をめぐる活動が活発となったために、当初の回収率は極めて低調であった。また、比例選挙のいわゆるミニ政党の中には、すでに消滅して事務所の所在も不明なものも見られた。数度にわたり、直接間接に回答を促した結果、回収率40.4%、回答数130を得た。調査票の内容は、立候補に至るまでの、政党、資金、支援グループ、家族、などの候補者にとっての環境要因と、政治的態度、政策志向、自己能力イメージ、将来の政治的野心などの候補者自身の内的要因の両方を含むものである。 回収期限を再三延期して現職議員からの回答を確保しようとしたため、今年度に達成できたのは、第1波調査のデータ入力と、単純集計までであった。この分析を急いで、来年度の第2波調査をできるだけ早い時期に実施し、研究の進展を図りたい。
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