平成6年度は当初の計画通り、蓄積されたデータを用いて銀行行動に関する様々な観点からの実証研究を行った。最近の自由化・国際化・情報化と言われる金融環境の変化を、銀行の情報生産という観点から理論的に分析し、それが日本の金融制度と密接に関連して、日本に特徴的な銀行行動を生み出していることが理論的・実証的に明らかになった。これら銀行行動について明らかになった多くの興味深い事実に基づいて、銀行行動の理論モデルの修正を行っており、平成7年度にはこれに基づいて最終的なモデルの実証研究を完結させる準備が整った。 また、本年度は自由化後の金融政策を検討する前提として、銀行をとりまく制度的環境変化の影響と自由化後の銀行経営のあり方に関する研究を進め、多くの知見を得ることが出来た。また、自由化後の金融政策を考える上では金融システムの安定性維持の問題は密接な関わりを持っており、この問題にまで視野を広げて分析を行わない限り、現実に有効な金融政策に関する提言を得ることは出来ない。そこで、金融自由化と金融システムの安定性についての研究も進め、市場機能利用の意義とそのための環境整備に関しての報告をまとめ、今後の金融制度改革の方向性と問題点も明らかになった。 更に、研究の最終年度である平成7年度において体系的に研究成果をまとめるために、これまでの知見の整理を行うと同時に、得られた成果や最近の諸外国での研究成果を取り入れた新たな理論的モデルの構築と改善を行い、より視野を拡大した分析フレームワークの中で全体の成果を統一的に位置づけるための見直し、次年度の研究のための準備を行った。
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