平成7年度においては、これまでに蓄積されたデータベースに基づき、自由化後の金融制度のあり方、とりわけ金融市場のリスク増大に対応した社会的リスク負担システム構築の必要性、及び日本における土地担保付き貸出の役割の理論的・実証分析、金融市場の大きな変化に対応した金融政策のあり方についての研究を行い、併せて3年間の研究の総括・取りまとめを行った。 その結果、金融制度のあり方としてはディスクロージャーを前提として、市場メカニズムを利用した監督体制や、経営難に陥った金融機関を問題をより悪化させない段階で早期に市場から混乱なく退出させることの出来る早期是正措置等の整備の必要性が明らかになった。また、リスクの複雑化、多様化、グローバル化に対応して、これまでの商業銀行によるリスク負担から、投資銀行業務を基礎として、社会的にリスクを分散して負担することの出来る金融システムへの移行の必要性が明らかになった。 更に、金融政策に関しては、バブルの基本的原因も為替市場への介入に端を発していることなどから、市場メカニズムに介入せず、安定的な貨幣供給を行うことによって、将来の予見が容易な安定的経済環境を作り出すことを目的として運営されるべきであり、公衆が政策当局に過大な期待を抱かないような環境も重要な要因であることが明らかになった。 全体的な取りまとめとしては、データベースの一般利用を可能とするマニュアルの作成、研究全体を踏まえた著書の出版準備などを行った。
|