研究概要 |
乗用車産業と半導体関連産業(家電・電子機器産業)におけるアセンブリーメーカーはその地区販売会社との間の取り引き形態を地区販売会社による売り上げが立ってはじめて地区販売会社に対する売上げを立てるようなシステムを変えつつある。取り引き主体を排除する-地区販売会社が自らの勘定で商品を買い取って在庫することをやめさせる-ことによって享受できなくなる「売ること」「買うこと」の確実性を情報を介在させることによて得ようとする。すなわち情報は取り引き主体を排除することによって生じる矛盾の解決である。この両産業のアセンブリーメーカーは川上に対しては内示発注=情報に変更し、流通末端における細かい変動を川上ににおける計画に結び付ける役割を果たしているのである。この両産業のアセンブリーメーカーがこうする目的は何か?M_1-R_1(アセンブリーメーカー1とその系列流通業者1)とM_2-R_2の間の競争からM-M_1-R_1とM-M_2-R_2の間の競争に持っていくことである。ある銑鋼一貫メーカーの製鉄所は「ある乗用車アセンブリーメーカーが一番発注・納入指示がしっかりしている。」という。これがこの製鉄所アセンブリーメーカーにたいする差別的納入価格(あるいは非価格面での優遇措置)に発展すると筆者らは考えている。 報告者らは乗用車と半導体関連産業については上のような成果を得た。それでは衣料品,加工食品,洗剤についてはどうか? 今回提出する成果報告書(冊子体)には銑鋼一貫と乗用車産業のみを収め,半導体関連産業とその他産業を含む全体については,1996年3月脱稿予定のThe information-based production-distribution system in the Japanese leading industries (Logistics Information Management誌のあるIssueをこの研究のために充ててくれる,MCB University Press社)として報告する予定でである。
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