研究課題/領域番号 |
05451117
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
奥林 康司 神戸大学, 経営学部, 教授 (90030717)
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研究分担者 |
庄村 長 東京都立商科短期大学, 商学科, 助教授 (30154347)
上林 憲雄 神戸大学, 経営学部, 助手 (00243296)
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キーワード | 新技術 / 組織構造 / 職務設計 / 労働の人間化 / 労務管理 / 柔構造組織 / 職務内容 / ネットワーク |
研究概要 |
新技術が企業組織構造や労働にいかなる影響を与えているのかを実態調査するに先立ち、当該領域に関わる最新の文献・論文によって、これまでにどのような実態調査や議論がなされてきたのかをレビューした。その結果従来の研究においては、必ずしも明瞭に「企業組織構造」を意識した上での経営学的研究はあまりなされてこなかったことが判明した。そこで我々は、独自の分析枠組みとして「新技術-作業組織-管理組織-労務管理」という論理体系から、新技術の企業労務への影響を把握することにした。即ち、企業組織構造といっても、現場の作業組織と上層の管理組織とではその影響が異なりうることを考慮し、作業組織レベルと管理組織レベルとをひとまず区別した上で、労務管理体系に及ぼす影響を検討するのである。それゆえ、いわばこのような「組織構造論アプローチ」とでも呼ぶべき分析枠組みを確立し得たことが、今年度における第一の研究成果である。 このような理論上の分析視角を基礎として、新技術導入が進展していると思われる事業所の見学及び聞取り調査を行った。具体的には、三菱電機(北伊丹製作所・通信機製作所・西条工場)、ダイハツ工業(滋賀工場)、トヨタ自動車(田原工場)、日産自動車(九州工場)、松下電工(門真本社工場・津工場)、富士通(明石工場・沼津工場)、福井村田製作所(本社武生工場)の合計7企業11事業所である。これらの各事業所の見学及び聞取り調査から概ね明らかになったのは、(1)各事業所とも現場の作業組織は新技術によって柔構造化しつつあること、(2)しかし管理組織は比較的安定的に推移していること、(3)それに対応して労務管理施策は技能職及び管理職でその影響に差異が見られること、この3点である。それゆえ、企業組織構造を作業組織と管理組織とに分割して議論するという我々の分析視角の現実的妥当性が判明した点が、今年度における第二の研究成果である。
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