研究課題/領域番号 |
05451128
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
島内 節 東京医科歯科大学, 医学部保健衛生学科, 教授 (70124401)
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研究分担者 |
石井 享子 東京医科歯科大学, 医学部保健衛生学科, 講師 (20202947)
深野木 智子 東京医科歯科大学, 医学部保健衛生学科, 助手 (80238443)
林 正幸 国立公衆衛生院, 保険統計人口学部, 保健情報処理室長 (10189665)
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キーワード | 寝たきり / 脳卒中 / 痴呆 / 難病 / 転倒・骨折 / ケアシステム |
研究概要 |
研究目的 3年間の研究目的は在宅高齢者の寝たきり化予防と重度化予防のための地域ケアシステムのあり方である。今年度は高齢者保健福祉推進十カ年戦略の課題としてあげられている「寝たきりゼロ作戦」の中で脳卒中者の対策が論じられているのでこれを中心に取り上げ、在宅ケア高齢者について、寝たきり契機となった要因別に、脳卒中、痴呆、難病、転倒・骨折との比較を行った。 そこから(1)日常生活自立度の予後を把握し、(2)訪問看護開始後の自立度の変化に関連する要因を分析し、寝たきり化を予防するためのケア内容、ケア方法を検討した。 研究方法 対象は東京都杉並区保健所、保健相談所、厚生部高齢者福祉室で1993年4月〜1994年8月までに保健婦が訪問指導・看護を開始した全対象者(538名)のうち主疾患が脳卒中、痴呆、難病、転倒・骨折であった363名とその家族(全対象者の67.5%)である。調査は1994年8月〜9月、担当保健婦が訪問記録、及び本人、家族への面接調査により質問紙調査票に記入した。 研究結果 (1)脳卒中者の訪問開始時自立度JA群 注)の悪化率は17.2%、BC群の悪化率は12.0%であった。JA群は調査時年齢階級「65〜74歳」での悪化率が40.0%で最も高く、BC群では「40〜64歳」の悪化率が50.0%と最も高かった(P<0.05-0.01)。JA群は「64〜74歳」で発症した者の悪化率が30.4%(<0.05)で高く、発症から1年未満に訪問看護が開始された者の悪化率は7.4%と有意に低かったことから、自立度低下、寝たきり予防のための効果的ケアは、「40から64歳」代、寝たきりになる前の自立度ランクJA者に対して、発症後1年未満に訪問ケアが開始される必要があることが示唆された。 (2)訪問ケア開始時自立度がJA群でも「会話」能力の低い者への働きかけ、介護者への介護サポートが自立度悪化を予防するために重要であることが示唆された。 注)厚生省日常生活自立度判定基準に基づく室内自立群と室内介助群の区分 室内自立群 J:何らかの障害を有するが日常生活はほぼ安定、独力で外出する。 A:室内での生活は概ね自立している。介助なしには外出できない。 室内介助群 B:室内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上生活が主体。 C:日中ベットで過ごし、排泄、食事においても介助を要する。
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