平成6年度における研究実績は、当所の研究代表者の長期海外出張により、急拠研究代表者の交代を行うと共に、研究計画の一部見直しを行うことから開始した。尚、この点に関しては平成7年度における研究の遂行において最終的に修正復活する予定である。 研究目的(1)としてあげた体育・スポーツ事故の実態把握については、平成5年度に引き続き、野外活動場面を中心とした事故事例の収集に努めると共に、収集した事故事例のデータ・ベース化を図った。データの蓄積に関しては、本学体育科学系のLocal Area Networkを介して大学のホスト・コンピュータに蓄積することとし、そのための設備とシステムの充実を行った。 研究目的(2)としてあげた法制面からの検討については、主として学校体育場面に関する事故に着目し、中でも多くの重篤な事態を生じている水泳プールにおける飛込み事故を中心とした事故事例ならびにその後の裁判に関する資料を収集し、法的責任について考察するための資料とした。また法的制度のもとに実施されている学校体育とは異なった背景を持つ社会体育場面における事故事例ならびにその後の裁判に関する資料として、スキーならびにスキューバ・ダイビングに関する事例を収集した。 研究目的(3)としてあげた諸外国との比較検討については、“Sports Physical Activity and the Law"を初めとする関連文献およびレポートの収集に努め、主に事故予防的側面における配慮とシステムについての検討を行った。またこの諸外国における事情については、本来の共同研究者である諏訪が現地にて資料の収集に努めている。 以上のように平成6年度においては5年度に引き続き、体育・スポーツ事故の分析および考察の基本となる資料の収集と整理において主たる実績を上げた。
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