1.現在、児童向け実験用アニメーションを制作中である。 これは、ストーリー展開を理解する上で、画面に現れる過去形の画面表示(フレーム)の認識が大きな影響を与えるように作られている。完成時には児童に視聴させ、画面上の過去形表示が子どものストーリー理解にいつごろから手がかりとして使われるのか、また、過去形自体をいつごろから認識するか確かめる予定である。 2.アニメーション番組における映像の過去形の使われ方の分析 実験用アニメーションが完成するまでの間、実際に放送されているアニメーション番組を分析した。子ども用アニメーション番組では、映像の過去形は規則的に使われており、文法として確立していることを示した。ここから、現在メディア教育が行われていないにもかかわらず、われわれが映像を理解できる背景には、番組制作者が子ども向けには、一定の所で決まった映像技法を使い続けたためであることを示した。 3.子どものテレビ理解の継続観察 子どものテレビ視聴を継続観察している。小学校入学にともなって、テレビ理解が進んだ。学校で教える時計の教育は、計画的視聴の態度を生みだしたことを示した。また、文字教育は画面の中の文字を読んで、テレビ理解の手助けに使われることを示した。 以上より、テレビを理解してゆく背景には、社会的サポートシステムが存在していることが確認できた。
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