研究概要 |
1.[書簡集の現状]AT版,AM版,CM版のうち,最も刊行年の古いAT版は,現在CNRSよりほぼ初版時の体裁のまま再刊されている.ただし新版刊行時までのAM版,CM版の研究成果を順次,補注として収録している.以上が,AT新版の表向きの方針である. 実際は,後継の他の巻に補注を付加する(例えば,第1巻への注を第2巻に付加する)形で,AT新版刊行後の研究を,また時としてAT新版の新刷の折に,さらにその後の成果を補っている. 2.[書簡集の多言語性]フランス語の地の文に埋め込まれた学術語としてのラテン語(単なる単語だけではなく,例えば定義・証明の部分などを記述するラテン語)は,なんらかのMark Upがなければ,区別がつかない.ちょうど数学論文における数式部分のあつかいに近い. 3.[PCの現状]IBM-PC系のマシンでWindowsが普及したことで,コンピュータ用のFontの世界ではPostscriptとTrue Typeの2つの形式が共存することになった.UNICODEは普及していない.テキストの十全な印刷のためのDE FACTOな基準は依然として存在しない. 十分なMark Upを含むデータ交換用の形式として,Microsoft Word用のRTF(Rich Text Format)を利用するソフトウェアが次第に増えてきている.現状では,SGMLよりも実用性が高い. 4.[SGMLの実装]SGMLの実装は,いくつかの大手の印刷会社以外に手がけているところは少ない.文法・DDLとの整合性などのチェックを,パーソナルユースで行うのに便利なツールは,ない.出力は,TEXに変換し,さらにPostscriptにおとして印刷するのが,現状である.
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