研究概要 |
この研究の最終目標は,デカルト往復書籍に対する電子計算機と機械可読デキストデータを利用したテキスト解読(すなわち,語・句・文の言語分析)の方法を構築すること,この目的のために文書記述言語SGML(Standard Generalized Markup Language ISO8879,JISX4151)とTEIプロジェクト(Text Encoding Intiative)が,デカルト研究者にとって有効であることを示すことにある。 我々デカルト研究会は,1983年以来,デカルト・テキストデータベースの構築に従事し,現在デカルトの著作の大部分を機械可読形式で保持している。デカルトの書簡集に関しては,アダンとミロ-による書簡集を利用し,現在の定本であるアダンとタンヌリによる全集を採用しなかった。その不十分さのためである。 デカルトは,彼の書いた書簡の多くの写しを手元に置いていた。ストックホルムでの彼の死後,クレルスリエによってこれらは三巻の書簡集にまとめられた。それ以降,新書簡の発見によって,彼の書簡集は補充され続けている。ロスによるホイヘンスとの往復書簡の発見と出版は1926年であった。 こうした事情のため,デカルトの往復書簡と,その日付・宛先・文中の固有名の同定などのための資料,の機械可読テキストの構造は,極めて複雑なものとなり,テキスト・データベースを利用する研究者のアクセスを,難しくしてしまう。 本研究ではこうした研究状況をふまえ,RTFなどのマーク付けの言語の利用の例をあげ,SGML利用のために文章構造を記述するDTD(文書型定義)利用の重要性を論じた。また,研究・調査の過程で得られた資料を付した。
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