研究分担者 |
石村 直之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助手 (80212934)
大津 幸男 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助手 (80233170)
坪井 俊 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (40114566)
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
松本 幸夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (20011637)
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研究概要 |
無限次元多様体上の幾何学について研究をすすめた.特に有限次元多様体上の関数空間として得られる多様体を研究し,その結果として元の多様体の研究に有用な知見を得た. より具体的には,有限次元多様体に関わる様々な汎関数を考察し,その変分を研究した.その根底にあるのは,良く研究されてきたモ-ス理論の拡張を目指すものである.モ-ス理論の研究は,その勾配ベクトル場を通じて力学系の研究に帰着させた.この視点にたって我々の研究は,無限次元力学系の研究にも貢献できた.これらの成果を通じて,下記に述べる無限次元及び有限次元多様体の位相・微分幾何学的性質をある程度明らかにできた. まず有限次元多様体上の計量全体のなす空間の位相を研究した.これを3つの観点から研究を進めた.第1に計量から定まる様々な(積分幾何的)不変量の変分を調べるものである.このような不変量の極値は,様々な偏微分方程式の解として与えられる.従って変分法と非線形偏微分方程式の観点で研究可能であった.第2にリーマン計量の曲率から定まる様々な不等式の極値を考察することである.多くのリーマン幾何学的な不変量の極値は偏微分方程式からは特徴つけられないが,それらに対してはより素朴で純リーマン幾何学的手法での研究が可能であった.第3に,この空間は多様体上の可微分同相写像のなす(無限次元)リー群の分類空間であることに着目する.従ってfoliated productの分類空間の研究の中で使われてきた方法がいろいろと使用できることが確認できた. さらに有限次元多様体上に与えられた構造のなすモジュライ空間や,2つの有限次元多様体の間の写像の族のなす空間の位相を研究した.この問題は部分多様体の研究を含んでいる.これらの問題についても多くの知られている汎関数の変分を調べることで研究をすすめた.
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