研究分担者 |
横井 英夫 名古屋大学, 人間情報学研究科, 教授 (50023560)
森本 宏 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (20115645)
伊藤 正之 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (60022638)
小澤 正直 名古屋大学, 情報文化部部, 教授 (40126313)
佐藤 健一 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (60015500)
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研究概要 |
本研究においては確率過程の研究および情報理論の研究を行い,以下のような研究成果を得た。 第一に,確率論で最近盛んに研究されている大偏差定理の研究とその応用を考えた.まず連続時間白色ガウス型通信路における信号検出問題を扱った.2種類の定常信号をこの通信路を通して送るものとする.出力信号を観測してどちらの信号が送られたかを判定するものとする.この問題は仮説検定問題として取り扱うことができる.大偏差定理を使うことにより,観測時間の大きくするとき,この検定の誤り確率が指数関数的に小さくなることが示し,さらにその指数のオーダーを具体的に求めた. 離散時間定常過程のスペクトル推定の一つの方法として最大エントロピー法が知られている。大偏差定理を使うことによって,標本の大きさが十分大きなときには,最大エントロピー法による推定が最適であることを証明した. 次に,情報理論における基本的な量である,通信路容量,相互情報量,および2乗平均誤差の間に成り立ついくつかの不等式を証明した.その一つは次のような不等式である.加法的雑音Zが作用するフィードバックのある通信路の容量をCとするとき,Zと同じ共分散をもつガウス型雑音Z^*の作用するフィードバックのあるガウス型通信路の容量をC^*すると,不等式C^*【less than or equal】C【less than or equal】C^*+H(Z;Z^*)が成り立つ.ただし、H(Z;Z^*)はZ^*に対するZの相対エントロピーである.この他にも2,3の不等式を証明したが,これらの不等式は情報理論において基本的な役割を果たすことが期待される.
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